被害妄想を乗り越える

被害妄想を乗り越える

私は自閉症スペクトラムで苦しんで、大学院在籍中にうつ病で入院し、障がい者雇用からのリスタートで10年かけて正社員登用を勝ち取った人です。私自身が被害妄想や加害妄想で苦しんできたので、自身の経験から妄想の乗り越え方について思うところを書いてみます。

まずお伝えしたいことは心の病をかかえる人の中には、「相手にこう思われている(嫌われている)のではないか?」とか「相手を傷つけてしまったのではないか?」という不安(妄想)を感じてしまう人がいるんです。人によっては「相手が○○したのはこういう悪意があるからではないか?」という被害妄想を持つ人もいます。

こうした妄想を思い詰めて考えているうちに、どこかで妄想の内容を「確信」してしまうんです。相手に悪意があったという妄想を確信して、後になってある日突然怒り出すなんてことも。なのでこうした妄想が膨らむ前に不安を取り除いていくことが大事なんです。

その上で大事なのは

1不安を感じたら人に聞いてみること

2人の評価を気にしないこと

だと思います。当たり前のことなんですけど心の病を抱えている人にとっては当たり前ではないんですよ。心の中では不安でいっぱいいっぱいなのに周りから気づいてもらえない。私もついつい最悪のケースを想定してしまうところがあったりしますが、実際に人に聞いてみると考えすぎだったことがほとんどです。最近意識しているのは、ちょっとでも相手を不快にさせたかもと思ったら、すぐに「ごめんね」と言って相手からフィードバックを受けることです。最初のうちは実践するのは難しいかもしれませんが、妄想が膨らむ前に断つことを意識するといいと思います。

もう一つの「人の評価を気にしない」ことは、心の持ち方を変えることですね。人の評価を気にして行動するということは、自分の本来やりたいと思うことを抑えつけることです。人の評価を気にして「こうしなければならない」といって自分のやりたいことを抑えつけた行動を取っていると、心にダメージが蓄積されてやがて不具合が出てきてしまいます。また、人の評価を軸に生きていると、自分という軸が失われ、自分がいったいどういう人間なのかを見失ってしまいます。また本当の自分を理解してもらえないことで苦しむことにもつながります。それを乗り越えるためには、自分の本能の声を聴き、その本能の声をかなえることを実践するのです。自分はいったい何をしたいのかという気持ちが分かるようになってから、「自分のするべきこと」を楽しんでやれるように、「するべきこと」と「やりたいこと」が一致するように心の持ち方を変えていくといいと思います。

ここからは心の病で苦しんでいる方にはハードルが高い話をしますが、「人の評価を気にしない」「人の評価を軸にしない」ためにはどのようにしたらいいかというと、それは常にその時々で自分の思う最善を尽くすようにすることです。自分の思う最善を尽くしていれば、後悔する必要がなくなります。なぜならば自分がその時点で最善と信じた選択をしたのであれば、結果その選択が間違っていたとしても、「もっといい方法があることは分かっていたのに」という後悔はしなくて済みます。常に全力を尽くして、出た結果を受け止める、いい結果が出たらよし、良くない結果だったとしても反省し、その原因を分析して次につなげていきます。全力を尽くさないで失敗すると後悔します。また全力を尽くすとその時点での自分の限界を知ることができます、全力を尽くすからこそ失敗した時に全力で反省することができ、次につながります。そうして自分の限界に挑んでいると、気が付いたらその限界を超えて成長していることを実感する時があります。大人になって障害が発覚した私は自分が人に比べて成長が絶望的に遅れていることを自覚しました。人に追いつくためには常に自分の限界に挑みつづける努力をしていかなければならないと思ったのです。

人に嫌われたらどうしようという不安を乗り越えるには、自分が最善を尽くしてなお嫌ってくる人がいたら、そちらの方に問題があるのではないかと開き直ることも必要です。万人に愛される人なんていないです。100人の知人がいたとして、50人の人に好かれていると捉えるか、50人の人に好かれていないと捉えるかは心の持ちようです。50人の人に好かれていなかったとしても50人の好いてくれる人を大事にすればいいだけの話です。

自分の経験談ではありますが、心の病で苦しんでいらっしゃる方に参考になれば嬉しいです。

 

被害妄想・加害妄想を乗り越えるには

  • 不安を感じたら人に聞く
  • 人の評価を気にしない

最善を尽くすメリット

  • 失敗しても後悔することがない→出た結果を受け止めて、次に生かす。
  • 現時点での自分の限界が分かる→限界を超えて成長できる時が来る